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RTX4060搭載小型PCの自作~ベアボーンなしでどこまで小さくできるか~

この記事は約13分で読めます。

今までにいくつも小型の変わりものケースを使ってPCを自作してきましたが、その流れから今回はある意味一つの極地に達したPCを自作しました。RTX4060のレギュラーサイズのグラボを載せつつ、ベアボーンではない交換可能なパーツだけで、可能な限り小さくしてみました。最初の構成は排熱がダメだったので、ケースを替えて組み直すところまでやったので、その顛末についてのお話しします。

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以前使用していたケースについて

以前は JONSBO T8 を使用していました。MiniITXケースとしては加工精度、頑丈さ、組み立てやすさ、価格のいずれも優秀な製品でした。上部の14cmファンもエアフローにとても効いていて熱対策にも困りません。

JONSBO T8。色は好きだし、出来はとてもいいんだけどね…

だがしかし…重い!😣
かなり肉厚なアルミ筐体とごつい取っ手、側面のガラスパネルによって、小さいケースなのにこれ単体で重量が 3.5kg もあります。それに取っ手は付いてて運びしやすいもものの、うっかり勢いよく置くとガラスが割れないか心配でした。

そんな重すぎケースを何年か使って、更新をしようと思ったついでに、どこまで小さく軽くできるかに挑戦してみようと思いました。

これはT8の拡張版なのでサイズが大きいです。
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今回の方針

  • グラボは RTX4060 のレギュラーサイズ(ロープロ版は使わない)
  • ベアボーンではなく、すべて交換可能な一般パーツで組む
  • 可能な限り小さいケースにする

この条件だと、結局ネックになるのは ケース・電源・CPUクーラー の3つでした。

ケース選定:Velka 3 は高いので A07 にした

当初は4Lの Velkase Velka 3 rev 3.0 を検討していましたが、価格が高い(159.99ドル)ので、AliExpress で SKTC A07 を購入しました。4,742円です。サイズは 104 x 184 x 223(mm) です。

ざらっとした表面の質感が良い

要件は次のとおりです。

  • MiniITX マザーボード対応
  • FlexATX 電源が必須
  • グラボは170mmまで
  • CPUクーラーは高さ37mmまで

ケース表面はエンボス調の艶消しブラックで、安っぽさはありません。電源ボタンが上部についているのもうれしいところです。

この手のケースは、グラボ用に別途ライザーフラットケーブルが必要です。PCIe 3.0用に比べて4.0用は高価で、3,168円しました。

ここまでで必要なパーツの要件が決まったので、これに合うものを探していきました。

最大の課題は電源(FlexATX)

小型ケースでの最大の課題は電源でした。現在の国内の店舗では FlexATX 電源はほとんど取り扱われておらず、あっても SilverStone の350W程度しか選択肢がありません。容量が足りない上に、容量あたりの単価も非常に高いです。

  • Amazon にある電源は安いものの、信用できない
  • AliExpress で売られていた600W級・1万円程度の T.F.SKYWINDINTL の電源を2つ買って試してみたところ、いずれも動作が不安定でした。起動はするものの、しばらくすると電源が落ちてしまうので、返品しました
  • 同じく中華メーカーの MetalFish の電源もありましたが、過去に買った製品の出来の悪さから信用していないので、スルーしました
  • 中華メーカーの電源は海外ニキの検証でも評判が悪いようです

もう中華メーカーは信用しない。返品はスムーズだった。

そんなときに、ちょうど小型ケースブランドの GEEEK で Enhance ENP-7660L が割引セール中で、139ドル(21,400円)で購入できました。
Enhance は、先に挙げた中華メーカーと違って最も信頼できるメーカーですし、容量も600Wあるので申し分ありません。

Enhance ENP-7660L 600W Flex ATX Modular Power Supply – GEEEK

メジャーなATX電源と比べてかなり高価ですが、信頼性を重視すれば背に腹は代えられません😭

CPUクーラーも要件が厳しい

電源の次に厳しいのが CPU クーラーです。A07 では高さ37mmまでしか許容されません。

探したところ、現行品で選べるのは JONSBO HP400S と Thermalright AXP90-X36 の2つぐらいでした。他に、クリアランスはほぼゼロですが、なぜか高さ39mmの SHURIKEN3 SCSK-3000 も半ば無理やり押し込むことができました。

  • JONSBO は、残念ながらパーツがさびていたので返品して、未使用です
  • 窒息ケースに有効な、下から上へ送る逆向きタイプの MetalFish DH380 V4 も試しましたが、高さ38mmにもかかわらず、SHURIKEN3 と違って全くケースの蓋が閉じられず、断念しました
  • いずれも冷却性能はいまいちで、周囲へのエアフローも不十分なので、SSD が加熱する原因になりました

SHURIKEN3 は、ファン側面にスリットが入った特殊形状なので、気持ち有利なのかもしれません。

DH380 V4は他にあまり見られない逆風タイプ

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CPU:Ryzen 5 7500F

CPU は、コスパが良くてワットパフォーマンスに優れるものを探しました。採用したのは AMD Ryzen 5 7500F です。

現在は BOX 版も出ていますが、当時は単体販売がなかったので、オークションで17,000円で購入しました。グラフィック機能は内蔵していませんが、3万円を超える Ryzen 5 8600G よりも単純性能は上で、人気の Core i5 12400F を超えるコスパだと思います。

マザーボード:A620I Lightning WiFi

ストレージ構成は、従来どおりシステム用とデータ用で M.2 SSD を2基載せたかったので、M.2 スロットが2つあることが条件でした。

採用したのは ASRock の A620I Lightning WiFi です。チップセットはローエンド向けなのに、電源回りや M.2 スロット2基という点は上位機種と同等という珍しい構成で、価格も他が同様スペックで3万円台後半という中で断トツで安い(23,000円)ので、ほぼ一択でした。

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グラボ:玄人志向 GG-RTX4060-E8GB/SF

グラボは、なるべく短くてワットパフォーマンスの高いものを選びました。採用したのは、玄人志向の GG-RTX4060-E8GB/SF です。

  • シングルファンで長さ157mm、A07 の170mm制限にも余裕がある
  • 価格は4万円を切っていて、ミドルレンジとしてはコスパが高い
  • 現在でも、これを超えるワッパの機種はおそらく存在しないので、発熱を考えると他に選択肢はなさそう

メモリ:DDR5 64GB

メモリは、今まで使っていた DDR4 から DDR5 への乗り換えで、64GB を探しました。採用したのは Corsair の VENGEANCE CMK64GX5M2B5600Z40 で、当時の価格は25,889円でした。

現在の価格は15万円を超えています😱 信じられないぐらい価格が高騰していて、滑り込みで買えて本当によかったです。

M.2 SSD は流用

M.2 SSD は特に縛りがないので、今まで使っていたものを流用しました。1TB を2基搭載していて、いずれも1万円程度で購入したものです。

マザーボードのチップセットが A620 なので、PCIe の世代による速度の上限だけは気にする必要があります。現在はこちらも高騰しているので、今買うとそう安くはないと思います。

1回目の組み立て(A07)

以上の構成で組んでみました。

いろいろギリギリだが、一見大丈夫そうに見える

  • 電源ケーブルの取り回しが非常に難しい
  • 前述のとおり、ゲームなどで高負荷になると、CPU とその周辺の冷却が全然間に合わない
  • エアフローが皆無で熱がこもるため、頻繁にサーマルスロットリングが発生していた
  • SSD も過熱状態になり、寿命が心配になった
小型ケースでは、CPUクーラーの高さ制限とエアフローの確保がセットで問題になります。今回のA07は、冷却ファンを増設できる場所がなかったのが致命的でした。

結局、パーツのポテンシャルが全く発揮できていないので、ケースを見直すことにしました。
真冬でもファンがブンブン全力で回っているので、日本の夏は越せないと思いました。

背面を見るとどんんだけ限界サイズなのか分かる

ケースを ARSYLID M24 に変更

AliExpress で似たようなケースを探して、容量5L の ARSYLID M24 を採用しました。8,942円です。
サイズは 115 x 193 x 240(mm) です。

質感はA07に近いし、よくできてる

サイズ感はあまり変わった印象がありませんが、対応サイズは次のように広がりました。

項目 A07 M24
容量 4.3L 5L
グラボ長 170mmまで 190mmまで
CPUクーラー高 37mmまで 47mmまで
  • 表面の加工は A07 と同様のマットブラックで、質感が良い
  • 極めつけは、上部に9cmファンを2基搭載できること。最低限のエアフローが確保できる
  • ファンは ID-COOLING TF-9215 ARGB を採用して、光らせた
  • CPU クーラーはかなり余裕ができたので、安くて比較的人気のある ID-COOLING IS-40-XT を採用した
  • PCIe ライザーケーブルは、ネジ穴のピッチが合わなかったので買い直した(3,264円)

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2回目の組み立て(M24)

組み直しましたが、かなり苦戦しました。

苦労してなんとか組み上げた様子。シミラボの猫グリス使ってます。

小型ケースはどれも組むのが大変なのですが、今回は特に、上部の排気ファンとライザーケーブルのクリアランスがほぼゼロで、接触しないようにするのに工夫が必要でした。

ケーブルがファンに当たって回転を阻害してしまう。あと2mmぐらい余裕があれば…

ファンの取り付け位置を上げる

ファン取り付け用ブラケットのネジ穴にワッシャーをスペーサーとしてかませて、ファンを天井ギリギリの限界まで高い位置に固定しました。

ワッシャーは自前で用意。Thermalright TL-9015なら元々ゴムスペーサーが付属している。

ライザーケーブルを折る

ライザーケーブルの上にグラボが載ることで、押しつぶされたケーブルの端が天井のファンに当たってしまいます。そこで、グラボにかぶらない部分に折り目をつけて、余る長さを側面に逃がしてやる必要がありました。

折り目は中の芯が疲労しないように軽めに。

なんやかんや2時間ぐらい格闘しましたが、無事に組むことができて、今までの熱問題も解決しました。

  • FlexATX 電源はファンが小さいので、キーンとうるさい音がすると聞いていたが、全然うるさくなかった
  • グラボも無負荷時はファンが完全に停止するので、静か
  • 高負荷時は天井ファンが激しく回るので、それが一番うるさい。ただ、排熱がしっかり外に逃げているのがわかり、効果はてきめんだった

ケーブル接触問題も解消。グラボはもうちょっと長くても大丈夫。

最終的なパーツ構成

パーツ 製品 価格 メモ
ケース ARSYLID M24 8,942円 AliExpress。5L、GPU 190mm / CPUクーラー 47mmまで
電源 Enhance ENP-7660L(FlexATX 600W) 21,400円 GEEEK のセールで139ドル
CPU AMD Ryzen 5 7500F 17,000円 オークションで購入。内蔵GPUなし
CPUクーラー ID-COOLING IS-40-XT 2,998円 薄型。47mmまで対応のM24で採用
マザーボード ASRock A620I Lightning WiFi 23,000円 M.2 スロット2基。MiniITX
グラボ 玄人志向 GG-RTX4060-E8GB/SF 42,800円(ポイント還元で実質39,824円) シングルファン 157mm
メモリ Corsair VENGEANCE CMK64GX5M2B5600Z40(DDR5 64GB) 25,889円 購入当時の価格
SSD M.2 SSD 1TB × 2 流用 以前に1万円程度で購入したもの
排気ファン ID-COOLING TF-9215 ARGB × 2 2,592円 天井に9cmファンを2基
ライザーケーブル PCIe 4.0 ライザーフラットケーブル 3,264円 M24 用に買い直した分
合計 147,885円 (SSD除く)

SSD入れたら16万円ぐらいでしょうか。極端に小さいPCの宿命で、性能に対して割高になってしまうのはしょうがない。でも、以前使っていたパーツを売ったので、差額によって実際は1/3程度の出費で済んでいます。
ちなみに重量は全部で4.5kg程度でした。軽いですね。

TIPS:CPUブーストを無効化してファンの騒音を抑える

昨今のCPUはあ高負荷時は自動的にブーストがかかり、クロックが定格を超えて上昇します。クロックが上昇するということは発熱が増し、それを冷やすためにファンが高回転して騒音が大きくなります。

これを抑えるために、私は Windows 11 ではコントロールパネルの電源オプションから省電力モード(ASRockATuning で Power Saving にしたときの設定)のプラン設定でCPU プロセッサの電源管理 > 最大のプロセッサの状態 を 99% に設定しています。こうすることでブーストが無効になり、定格以上のクロックには上がらなくなります。

その分瞬発力が落ちるのですが、もともとパワーのあるCPUなので軽作業ではさほど困らないでしょう。
なお、ゲームや重い作業をする際は ASRockATuning で Starndard Mode に切り替えればブーストが再び有効になって全力稼働します。これらを必要に応じて切り替えることで筐体内部の温度上昇を制御し、ファンの騒音を抑えることができます。

ATuningはマザーボードに付属のアプリケーションでタスクトレイに常駐している

今後の課題

現状では Cinebench などで全コアフルロードにすると、どうしても TjMax の 95℃ に達してしまい、サーマルスロットリングが発生してしまいます。普通に使っている上で、そのような場面はまずないのですが、それでも可能な限り冷却能力に余力を持たせて将来的により消費電力の高いCPUへの対応もできればと思っています。

そのためにCPUクーラーをもっと上位のものに換えたり、ファンにダクトを取り付けて外気の取り込み効率を上げたりする試みを考えているところです。

おわりに

おそらく、グラボの選択肢を残しつつ、ある程度重めのゲームがちゃんと遊べる自作PCの小型化は、これが限界ラインかと思います。一応夏も無事に越せました。これ以上コンパクトにするには、ロープロ版のグラボを使うか、GPU 内蔵の CPU で割り切るしかなさそうです。流石にeGPUを使ったら負けだと思ってる。

余裕ができたとはいえ、かなりギリギリ感ある

一方で、滑り込みで64GBのDDR5が買えたのはよかったのですが、現在はそれだけで全体のパーツ代を超える勢いなので、万が一故障しないか不安です😰

今回の記事はニッチな自作PC界隈の方の参考になれば幸いです。

ちなみに、ケースを探すときは、こちらのサイトが便利でした。

CaseEnd

以上!

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